住宅の定期診断のすすめ。

住宅をいつまでも美しく、また丈夫に維持し、安全で快適に過ごしたいと、誰しもが願っています。そのために重要なのが我が家の「定期診断」なのです。

たとえば、車の場合、安全な走行を維持するために、６ヶ月の定期点検や、２年に１度の車検制度が義務付けられています。また、人間も健康を維持するために、定期的な健康診断や、人間ドッグでの入院検査などを行います

住宅も様々な材料で組立てられた生き物です。車や人間と同様に定期的な診断と定期的なメンテナンスは欠かせないものです。

家を建てたら、それで終わりと考えている方を多く見受けます。自分の家は最新の材料を使っているので、メンテナンスフリーだと考えている方もいます。業者も家を建てる時点でそういったことを説明しない傾向も有りますが、100％メンテナンスフリーの住宅は存在しません。

住宅に使われている材料は耐用年数もさま様ですし、それぞれが環境の変化に伴い、微小な鼓張収縮を繰り返しています。また台風や地震の外的要因による大きな力が加わることもあります。

このため時間の経過と共に、いろんなところで小さな不具合が出てくるのは、当然のことといえるでしょう。大切なことは、不具合を、小さな段階で発見し、その状況に応じた適切な処置をするという事です。

これからは認識を改め、新築の時点でこれからのメンテナンス計画を頭に入れておく必要が有ります。新築時にはなかなかそこまで考えがまわらないのが普通ですが、そこまでの提案が行き届いているのが真の建築業者の姿だと思います。

小さな不具合いを放置しておくと、不具合が不具合を呼び、いずれは重大な欠陥となり、住まいの快適性や安全性が損なわれることにもなりかねません。不具合を、出来だけ早く発見し、最小限の処置で済ますため、実行したいのが我が家の「定期診断」です。

定期的な診断と適切な処置を行えば、わが国の法隆寺の五重の塔の例をみるまでもなく、木造の建築物は、１００年以上の寿命を潜在的にもっているとも言えるでしょう。

此処にきて、国の政策も長期寿命住宅の建設を推進する流れに変わってきています。今までの作っては壊すという循環を改め、１００年住める住宅という事を前面に出している住宅メーカーもあり、日本の住宅も変わりつつあります。

住宅の定期診断、および処置をするにあたり、必要になるのが図面です。施工会社から引き渡し時に受け取った竣工図、または確認申請書、契約書などは、すぐに取り出して見る事が出来るよう、整理しておきましょう。

そして、定期診断の結果もファイルし、我が家の「住宅カルテ」を作成することをお勧めします。定期的な診断は住宅のメンテナンスには欠かせない資料になり、的確にメンテナンスの時期と処置方法が早めに把握できるので、結果的にはメンテナンス費用の削減に繋がります。