外壁塗装において高圧洗浄は必要不可欠な作業のひとつです。しかし、素人目線でみると「省いても良いのではないか」と思われがちな作業でもあります。電気式もありますが、ほとんどの場合、強い圧力でとなるとガソリンエンジン式の機械を使用しての作業。近隣には水が飛び散りますし、防音タイプでスクーター並みの煩さ。防音タイプでなかったら、外で井戸端会議していても相手の声が聞き取れず会話にならない大音量。時間に寄っては迷惑が掛かってしまうケースもあります。そこまでして洗浄をする必要はあるのでしょうか。答えは「イエス！」です。

 

※こちらは屋根の洗浄風景です。

 

もともとむき出し状態の屋根は、雨風にさらされ目に見える部分でも泥や苔など汚れが付着しています。屋根の塗装をする前には、目に見えない部分も含め付着している汚れをキチンと取り除くためにも「洗浄」を必ず行ってください。「たかが汚れ、それだけのこと勿体ない」と安易に考え、洗浄を行わず塗装すると、塗料と下地がきちんと密着しないため、結局すぐに剥がれてしまい、何をしているのかわからない状態になる恐れもあります。また屋根の塗膜が剥がれ落ちた状態に気付かず放置してしまうと、屋根自体が傷んでしまい、屋根本来が持つ「家を守る」という機能が失われてしまう懸念もあります。

むき出しである建物の外壁には長年にわたり、埃や車の排気ガスがこびりついています。そんな状態の上から塗料を塗っても密着性に欠けます。つまり、どういうことかと言いますと、汚れを落とさずに塗装をするということは耐久性に問題が出てくるわけです。いくら長持ちするといわれる塗料を塗っても肝心の下地が悪ければ密着性が悪いということ。そうすると、もともと保ったであろう期間を保持できず、２～３年で剥がれたりする可能性があります。人生のうち１度は体験したことがあるかと思うのですが、10年位経った壁を手で触ると白い粉が付きます。これをチョーキング現象と言います。そういう状態の上から塗装しても効果は長くは持ちません。わかりやすく説明すると、塗膜がチョーキング現象で白い粉の上に乗っているような状態ですから、膜が貼っているのと同じ、スルッと剥がれやすい状況にある訳です。子どもたちが外でボール遊び、バイクのヘルメットを持って出たが躓いて壁に激突。なんてシチュエーションもなきにしもあらず。不意に何かが当たったらすぐに剥がれてしまうかも。そんなことになってしまっては悲しいこと極まりないかと。

 

　※下図は洗浄前の外壁

 

昔は、高圧洗浄機と言えば大変高価なものでした。従って、大きな企業でない塗装業者では簡単には使えるものではなかったので、ブラシやワイヤーブラシなどを使って汚れを落としていましたがなにぶん手作業でのこと。力の入り具合も機械に比べると頼りなく、完全ではなかったようです。今では高圧洗浄機も昔と比べると安く手に入るようになり（それでも安くても20～30万円します）なり、ほとんどの業者が使用するようになりました。最近ではコーナンなどのホームセンターでも洗浄機を置いていますが、ほとんどが家庭用のもので水圧が業者の物に比べると物足りないです。一般的な家庭用の洗浄機の圧力は8～10MPa（メガパスカル）です。外壁塗装では最低でも14.7MPa以上は必要となります。ちなみに、高圧洗浄機によってはMPaではなくkgf/cm2と表す場合があります。14.7MPa＝150kgf/cm2と理解していただければよいと思います。また、水の噴出方法もトルネードタイプ（回転式）と通常タイプの２つがあります。トルネードタイプの方が塀などのこびりついた汚れはよく落ちます。回転式と通常タイプ、機会があれば写真かYouTubeなどで見比べてみてください。

 

 

※下図は洗浄後