住宅の外壁改修工事は大きく分けて２通りあります。塗り替えか、張り替えか、に分かれます。営業マンとのやり取りで、塗り替え、張り替え、２つの提案をされる場合があります。というのも最近外壁を張り替えた家をよく見るからです。

実際に塗り替え、と張り替え、とどちらにしようかと悩んでいる方もいると思います。張り替えについて、営業マンに勧められたことがある方はこういったセリフを聞いたのではないでしょうか。

「外壁を張り替えたら、半永久的にもちますよ。」「塗り替えと比べてもほとんど金額の差はないです」「塗り替えに比べると長い目で見るとコストが安くつきます」これだけ聞くと、張り替えの方がとてもお得な感じがします。

しかし、この世に半永久的に持つようなものは存在しません。形あるものはいつかは壊れるのです。長い年月のせいで外壁サイデイングボードも劣化し、確実にそってきます。どんなに良いサイデイングボードでも紫外線の影響で、変退色は免れません。その結果塗装しなければなりません。しかし、好いことも有ります、新しいうちは外観の見栄えが豪華に見える事です。

サイデイングボードは一時的には家のグレードアップに繋がりますが、年数が経過すると余分なメンテナンス費用もバカになりません。塗装だけではなく、目地やサッシ廻りのシーリング工事も必要になりコストが掛かります。

工事金額を比較してみても塗り替えと、張り替え、では大きな差があります。手間代にしてもサイデイング張りの方が工期も多く掛かります。単純に人件費を考えてみても、その日数分だけ人件費が加算されていきます。材料費も加算されるので想像しただけで塗装工事よりも割高になるのは当たり前のことです。

高級なサイデイングボードに張り替えた場合でも耐用年数は２０年位ですが、目地やサッシ廻りのシーリング打ち替えは１０年毎に施工が必要です。余分なコストが掛かります。

そしてもう１つ、屋根のメンテナンスのことも考えておかなくてはなりません。屋根を塗装する場合は足場が必要です。屋根塗装とシーリング打ち替えをセットで１０年での施工を考えるのがベストな方法です。

いろんな角度から見ても塗り替え、張り替えではかなりの金額の差が出てきます。家の耐用年数が３０年と仮に計算します。その間の塗装工事金額とサイデイング張り費用、あとのメンテナンス費用などを計算すると２００～３００万円サイデイング張りの方がコストアップになるでしょう。

貼り替えには２タイプあります。

既存の外装材を撤去して、新しい外装材に取り替える方法

この利点としては、既存の外装材をはずした際に、住まいの構造をチエックして、必要ならば、断熱材を入れるなどの追加工事ができることです。

もう１つの工法は既存の外装材を撤去せず、その上から重ねて新しい外装材を貼っていく工法です。「カバー工法」と呼ばれています。

カバー工法の利点を、外壁が２重になるので、断熱性や遮音性が２倍になるとか、低コスト、工事期間の短縮などをうたっている業者もいますが、外壁が２重になれば性能も２倍になるというのは、すこし短絡的な考え方だと思います。そういうふれこみに惑わされる事が無いように慎重に情報を集めて検討する必要が有ります。

基本的に建築物は家自体の重量を考慮して設計しているので、あとから予想外の重量が加わるのは、家への負担が大きくなりすぎて危険な場合もあるので、信頼できる専門家に相談する必要があります。

これは私個人の意見ですが、３０年ベースで家のメンテナンスを考えた場合、塗り替えで行く場合は２回塗装工事が必要になります。費用は合計で約３００万円掛かります。張り替えで行く場合は、張り替え費用が２５０万円と塗り替えが１回の費用として１５０万円、シーリング工事費、足場代、屋根塗装で１００万円で合計５００万円掛かります。

結論として貼り替えの方が２００万円割高になりますが、張り替えの最大のメリットは新しい内は外観の見栄えのグレードが上がる事です。見栄えを重視するか、費用を重視するかの違いになって来ます。張り替えでは半永久的にメンテナンスが不要という事にはならないので、どちらを重視するか、よく検討の上決定すべきです。