スレート系屋根の大部分を占める化粧スレートは、ハウスメーカーの住宅を中心に広く普及しています。２００４年以前の製品にはアスベストが含まれていましたが、現在の化粧スレートはノンアスベストの製品に変わっていますので安心です。

阪神大震災以降耐震性の問題から化粧スレートの需要が大きく増えています。安価で施工性が高い屋根材としてよく使われています。

アスベスト含有の化粧スレートの解体、処理には規則に従った飛散抑制作業が必要になってきます。

化粧スレートと天然スレートはまったく異なるものです。正式にはスレートとは天然鉱物の玄昌石を指し、これに見た目が似ているので、人造のスレートを化粧スレートと呼ぶようになりました。

化粧スレートはセメントと繊維材料を主原料として成型した人工的な材料です。現在ではスレート系屋根の大部分を占めている。平形と波形に分類される。

「平形」

一般住宅で広く使われています。平状の化粧スレートで豊富な色とデザインが揃っている。重ね合わせで雨水の浸入を防ぐため、製品によって異なるが、２．５寸から３寸程度の勾配が必要となります。

一般的には商品名からくるカラーベストやコロニアルと呼ばれる。

「波形」

断面が波形の形状をした化粧スレート。屋根では大波を使用する場合が多い。施工性は高いが、定尺のため継ぎ目、重ね部分が目立つ。工場や倉庫などに使われることが多い。

天然スレート

天然鉱物の玄昌石を５mm程度の厚みに薄く加工したもの。ヨーロッパなどでは古くから屋根材として使用されている。

自然の色、風合いが美しく、高級感のある材料だが、重量が重いため、耐震設計ではこれを考慮した構造体の設計が必要です。希少性が高く、高価なためほとんど使われていません。

化粧スレートは、金属葺きほどでもないが、重量は瓦の1/2と軽量のため、瓦と比べて耐震設計には有利になります。

これはセメントと混ぜられる繊維材料が化粧スレートの強度を向上させ、薄く加工することを可能にしているためです。この繊維材料は、過去には問題になっているアスベストが使われていた。

耐震改修を目的とした、瓦から化粧スレートへの葺き替えも多く行われています。地震大国の日本ではこれからも化粧スレートの屋根が増えていくことでしょう。

工場で塗装された化粧スレートは、紫外線などの影響で色あせ・変色が起こります。製品や立地環境によっても違いが有りますが、美観上１０年前後で塗り替えが必要といわれています。

その際塗料の選択や施工方法を誤ると、毛細管現象により雨水を呼び込み、雨漏りの原因になる事があるので、塗り替えには、材料、工法の確認が大切です。

近年では紫外線に強い塗装が施された商品も開発され、１０年の保証を実施している商品もあり、メンテナンス性は向上している。

２００４年にアスベスト含有建築材料の製造が禁止され、２００５年にはその販売が禁止されているため、現在の化粧スレートはノンアスベストの製品に変わっています。

それ以前に建てられた建物の解体、改修にはアスベストが含まれている可能性があるので、解体、撤去には規則に従った飛散抑制作業が必要になります。

アスベストの飛散防止のための屋根葺き替え工法としては既存の屋根材を撤去する事なく、その上から新しい屋根材を葺くカバー工法が一般的です。古い化粧スレートの葺き替え時には検討して見るのもいいでしょう。

ヨーロッパでは古くから石の文化があり、屋根材に天然スレートが多く使われてきました。世界遺産にもなっているフランスのモンサンミシェルにも天然スレートが使われています。

工業製品のようにきれいに整えられた製品ではなく１枚１枚が不均一ではあるが丁寧に重ねられ、時間の経過で経年変化した天然スレートはとても美しい物です。